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インティマシー・ディレクター(Intimacy Director)という役割は、今の演劇業界でどう確立できるのだろう、今の社会においてどのように表現できるのだろう。2023年夏、資格プログラムを終え活動する中、このような問いを頭においています。

 

2022年、「インティマシー・コーディネーター(Intimacy Coordinator)」がテレビドラマを中心に広く知られるようになり、流行語大賞候補にもなりました。「インティマシー・ディレクター」との違いは、その採用される現場やプロセスに違いがあり、特に「インティマシー・ディレクター」は演劇で採用される役職を意味します。

 

インティマシー(intimacy)は「親密な」「センシティブな」という表現が近いでしょうか。

例えば、役者がヌードになるシーン、キスシーン、疑似性行為や親密な身体的接触のあるシーンなどの恋愛のシーンだけではなく、出産シーンなども挙げられます。

 

イメージとしてですが、

アクションや格闘シーンでは、使う剣などの道具や相手のどこを狙ったら叩いているようにみえるなどを確認し、殺陣師が振り付けを考えます。ダンスのシーンでは、音楽やストーリーを聞いて、振付師・振付家が振り付けを考えます。

このように、インティマシー・ディレクターも親密なシーンにて、何が演技として可能か役者とコミュニケーションをとりながら、演出家が表現したいことを描くために、振り付け・演出を考えます。その振り付けを実現するために、照明や小道具など、シーンに携わる関係者とアイディアを交わし、協力します。

 

ただ、自分の体のどの部分が他人のどう触れてどう思うかを、自分自身把握し、他人に説明するのはそう簡単ではないな、と思います。実際、一度立ち止まらないとわからないのが普通かもしれません。もしかしたら、稽古で他の役者と振り付けを考える中でようやくわかることや、変わっていくことかもしれません。インティマシー・ディレクターの大事な役割として、役者が安心して表現できるような環境や関係者とのコミュニケーション方法を築いていきたいと思っています。

 

こうしたインティマシー・ディレクターやコーディネーターは、ハラスメント防止の切り口で作品に採用されたり、メディアに取り上げられたりしますが、心や身体に傷を負ってしまう役者やスタッフを生まないためには、制作過程の見直しや関係者全員の意識が必要です。これから活動をする中で、インティマシー・ディレクターの役割として「演出の質を高める」「表現の幅を広げる」という面もぜひ伝えていければな、と思っています。

 

表現をしたい、伝えたいことがある、という気持ちは、とても素敵だなと思います。その思いを支えられるように、インティマシー・ディレクターとして、尽力していきます。

伊藤樹里 © 2023.10

 

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